【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム

第19話

アタシがファミマにいた時間帯に、深刻な事件が発生した。

場所は、大阪市天王寺区の上本町《うえほんまち》の酒場街にて…

「オドレしゅうさく!!」
「しゅうさく待てや!!」

しゅうさくは、やくざの組長の女に手をつけたことが原因で数人のチンピラたちに追われていた。

事件現場の酒場街は、近鉄上本町駅付近・地下鉄谷町九丁目駅の北東側にあるテナントビルがたくさん立ち並んでいる通りであった。

しゅうさくは、あちらこちらを逃げ回った末に清水谷町の公園に到着した。

しゅうさくは、周囲の安全を確かめたあと公園から逃げるつもりでいた。

しかし…

（ドカッ!!）

「グワアアアアアアアアアアアアアアア!!」

この時、公園内にある茂みに隠れていたチンピラの男に襲撃された。

「オドレ!!よくも組長の女に手ぇつけたな!!」
「知らねーよ!!」
「何やと!!」

思い切りブチ切れたしゅうさくは、近くに落ちていた鉄パイプをひろったあとチンピラの頭を鉄パイプで殴りつけて殺した。

「グワッー!!」
「アニキ!!」

その後、しゅうさくは再び逃げ出した。

「待たんかいコラ!!」

チンピラの男たちは、再び逃げ出したしゅうさくを追うために公園から出た。

それから２時間後のことであった。

清水谷町の公園の入り口に、大阪府警《ふけい》のパトカー20台がたくさん停まっていた。

現場は、緊迫した空気に包まれていた。

100人の捜査員たちは、公園内で現場検証をしていた。

事件の現場に容疑者に結び付く証拠が全くなかったので、捜査は難航するようだ。

それから４時間後であった。

あいつの家に、深江さんから電話があった。

製造工場の社長さんが人手が足りないと言うて困っている…

納期が２日後のお仕事を全部仕上げるために、工場に来てほしい…

深江さんは、しゅうさくが帰って来たら工場に来るように伝えてくださいと電話で言うた。

義母は、受話器ごしにいる深江さんに対して『ごめいわくをおかけしてすみませんでした…』と力ない声で言うた。

義父は、ものすごくあつかましい声で義母に言うた。

「しゅうさくはどこへ行ったのだ!?」
「おとうさん、そんなに怒鳴らないでよ…それよりも、しゅうさくのことは後回しにして(しゅうさくのお嫁さん)の問題を解決することが先よ!!」
「（しゅうさくのお嫁さん）のご両親を呼べと言うのか？」
「当たり前でしょ!!この際だから、親御さんに迎えに来ていただきましょう。」
「(しゅうさくのお嫁さん)の親御さんが電話に出ないので困っているのだよ…お母さまはドラッグストアでパートさんをしていて、お父さまも大阪府の職員の役職で共稼ぎの上に…」
「ますますはぐいたらしいわね!!もういいわよ!!それだったら、市役所の福祉課に電話してよ!!」
「なんで市役所に電話するんぞ？」
「（しゅうさくのお嫁さん）を保護してもらうのよ!!もう時間がないのよ!!」
「分かったもう〜」

義母から怒鳴られた義父は、ものすごく困った表情で市役所に電話した。

この時、新たな問題が発生した。

しゅうさくと結婚したお嫁さんが母子手帳の申請にしていなかったことと妊婦検診に一度も行ってないことが明らかになった。

その一方で、あいつがやくざの組長から大金や高価な貴金属類などをもらっていたことがあからさまになった。

このあと、あいつの家の家族たちは、より強烈なパンチを喰らうようになった。