【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム

第20話

８月25日はバイトがお休みであった。

アタシは、赤茶色のバックを持って、神崎川《かんざきがわ》の河川敷の公園へ散歩に行った。

神崎川《かんざきがわ》の河川敷《かせんしき》の公園に着いた時であった。

アタシは、大きめの花束をおそなえしたあと静かに手を合わせてお祈りをしている50代後半の女性を見かけた。

アタシは、女性に声をかけた。

「あのー、ちょっとお聞きしてよろしいでしょうか？」
「はい？」
「あの〜、大きめの花束をお供えしていましたが、どなたか亡くなられたのですか？」
「どなたって…女性が亡くなられたのですよ。」
「女性が亡くなられた？」
「あんた知らんかったん(知らなかったの)？８月２日の夜に、短大生の女のコが複数人の男たちからレイプされて殺された事件が発生したのよ。」
「レイプ殺人事件…」
「亡くなった短大生のコは、男と深刻なトラブルを抱えていたのよ…」
「深刻なトラブルを抱えていた？…それはどういうことでしょうか？」

おばあちゃんは、ものすごくつらい声でアタシに言うた。

「アタシね…事件が発生する一時間ほど前に、亡くなった短大生のコが男に別れ話を切り出していたところを聞いたのよ…切り出された男は、アタシが知っている人の家の伜《アホンダラ》よ…」
「伜《アホンダラ》…その伜《アホンダラ》は、どこで暮らしている人ですか？」
「たしか…川西…ああ、思い出したわ!!」
「おばちゃん、もしかして川西で暮らしていたことがあったの？」
「ええ…あるわよ…あるからうちは知ってるのよ…」
「おばちゃんは、短大生のコを殺した犯人を知っているのですか!?」
「すぐにわかるわよ…グループのリーダーはごんぞうよ。」
「ごんぞうが、レイプ殺人事件の容疑者の男って…」
「そうよ…ごんぞうの両親と親類縁者たちも事件に加担した共犯者よ。」

ウソ…

ウソでしょ…

おばちゃんから話を聞いたアタシは、背筋が凍りついた。

おばあちゃんは、ひと間隔おいてからアタシに言うた。

「この状況では、いつ空中分解が起きてもおかしくないみたいねぇ。」

おばあちゃんの話を聞いたアタシは、あいつの家は近い将来に空中分解を起こすおそれがあると感じた。

このあと、あいつの家で破局級の事件が発生した。