【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第36話
2度目のダンナと離婚したアタシは、四国松山に移り住んだ。

離婚してから6ヶ月の間、アタシは二番町のナイトクラブ・道後温泉街《どうご》のソープやファッションヘルスなど…主に風俗店《フーゾク》で働いていた。

アタシは、今度こそ女ひとりで生きていくと訣意《けつい》を硬《かた》めた。

それなのに、あいつらの家の知人から『K崎家と仲直りしてくれ〜』と泣きそうな声でアタシにコンガンしてきた。

アタシはイヤと言うてるのに、あいつらの知人は『あきよしの両親は一生かけてつぐないたいと言うてるのだよ…』…としつこく言うた。

あいつらの知人は、アタシに対して四男・たかよしと再婚しろと強要した。

アタシは、仕方なくあいつ(たかよしのことはあいつと表記する)と再婚することになった。

けれど、婚姻届は出さないことにした。

例の事件のあと、あいつらは東温市田ノ窪にある義母カタの実家に転がり込んだ。

あいつらはその後、本家のコシュの次男夫婦の家族が暮らす予定であった新築の家で暮らしていた。

本家のコシュの次男夫婦は、家を取られたことに対しておんまく怒っていた。

しかし、コシュの妻が『家が見つかるまでの間だけガマンして…』と言うて許しを乞うた。

今のあいつらの家族は、義父母と次兄のまさよし夫婦とあいつとアタシと末っ子のみつよしの7人が暮らしていた。

アタシは、ショージキ言うてここで暮らすのはものすごくイヤ!!

本家の妻は『住むところが見つかるまではここにいていいよ…』と言うけど、それではものすごく気が引ける…

新しい住まいを探さなきゃ…

義母カタの親類の家にメーワクをかけたくない…

うちら家族のあせりは、日増しに高まっていた。

そうしたあせりが原因で、うちら家族は取り返しのつかないトラブルを起こした。

いつ頃だったか覚えてないけど、コシュの次男夫婦のひとりむすこ(小4くらい)がみつよしのスマホを勝手に使ってオンラインゲームをしていたことが明らかになった。

思い切りブチ切れたみつよしは、コシュの次男夫婦のひとり息子を金属バットで殴ったあとナイフで刺して殺した。

みつよしは、殺人罪でケーサツに逮捕された。

ことの次第を聞いた本家のコシュは、うちら家族全員に対して『オドレらは明日からホームレスだ!!』と言い放った後、うちら家族をカンドーした。

同じ頃、まさよしはせっかく再就職した地銀をクビになった。

あいつも、川内にあるパナソニックの工場の担当者から脇町(徳島県)の工場に強制転換《はいちてんかん》を命ぜられた。

強制転換《はいちてんかん》を命ぜられたあいつは、担当者をグーで殴った末にやめた。

うちら家族は、その翌日からホームレスの生活に変わった。

路上生活を始めてから10日目の夜であった。

うちら家族は、朝倉のふるさと公園の中にある広場で寝泊まりしていた。

この時、義父の知人が通りかかった。

義父は、助けを求めた。

それから20日後であった。

うちら家族は、今治市末広町にある2階建ての借家へ移り住んだ。

義父は、知人からの紹介でフジグランの近くにあるM水産に再就職をした。

義母は、松本町にある母恵夢《ポエム》(洋菓子)の製造工場に再就職した。

まさよしは、学生時代の友人からの紹介で北宝来通りにあるドコモショップに転職した。

あいつは、東鳥生町に日本食研《ショッケン》の製造会社に転職した。

しかし、お給料は結婚生活が十分にできる金額ではなかった。

義母が『足りない分はたしてあげるから大丈夫よ…』と言うたけど、アタシは信用できない…

アタシは、富田新港《しんこう》にあるセトウチデリカ(お弁当製造工場)で働くことにした。

しかし、うちら家族はわずか3日で気だるくなった。

ここより、4幕目の悲劇が始まった。
< 36 / 95 >

この作品をシェア

pagetop