【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム

第38話

2020年６月13日の昼過ぎであった。

場所は、道後温泉街《どうご》にあるホテル椿館《つばきかん》のエントランスのカフェテリアにて…

つばきちゃんとアタシは、道後ラムネをのみながらお話をしていた。

アタシは、あいつから受けたＤＶが原因ひどく傷ついた…

だから、あいつらをうらみ通すと怒っていた。

あいつの家から飛び出たアタシは、再び松山へ逃げたあと市内のアパートで暮らしているつばきちゃんのところへ転がり込んだ。

話は変わって…

アタシは、ラムネをひとくちのんでからつばきちゃんにアタシの乳房《むね》のうちを話した。

アタシの乳房《むね》のうちを聞いたつばきちゃんは、アタシにこう言うた。

「サイアクね…今回は前回よりもひどい事象だからもっともサイアクね…それよりも、こずえちゃんはこの先どうやって生きて行くのよ？」
「アタシはやさぐれた女だから、水商売に出戻るより他はないのよ。」
「そうね…こずえちゃんは結婚なんかしない方がいいと思う…と言うよりも、こずえちゃんは生まれた時から結婚する資格はなかったのよ…」

つばきちゃんは、ラムネをひとくちのんでからアタシに言うた。

「アタシも…こずえちゃんと同じように生まれた時から放浪生活をしていたのよ…アタシの家はサーカス小屋よ…各地を転々として暮らしていだけど…小学校と中学校は、ママの実家がある新宮村(愛媛県四国中央市)の親せきの家からバスで川之江の中心地の学校へ通っていたの…中学を卒業したあとの進路は決めてなかった…サーカス小屋はイヤ…かと言って、新宮村の親せきの家から高校に通うのもイヤ…だから、高校へ行かなかった…その後、うちは京都へ行って舞妓はんになった…けれど、客の男にレイプされてボロボロに傷ついた…それから１年後にこずえちゃんがいた女子高に入学した…けど、半年でやめた…それ以降は、各地を転々として暮らしていたのよ…アタシね、一定の金額がたまったら…札幌へ行くと決めたから…」
「札幌。」
「すすきのに新規オープンする予定のナイトクラブにくらがえをすることに決めたけん。」

つばきちゃんの話を聞いたアタシは、一定の金額がたまったら新しい街へ移ると訣意《けつい》を硬《かた》めた。

アタシは、つばきちゃんからの紹介で朝は喜与町《きよまち》のＮＴＴ病院のリネンのお仕事、昼は銀天街のアーケード通りにあるポポロ(パチンコ屋さん)の水周り清掃、夜はいよてつ松山市駅前にあるファミマ…とかけもちでお金を稼ぐことにした。

それでも足りない分は、松山市内のデリヘル店や道後のファッションヘルスやソープなどの風俗店《フーゾク》でおカネを稼ぐことにした。

住まいは、路面電車《トラム》の上一万駅前にあるロフティ（ロフト式のマンション）で暮らすことにした。

アタシは、女ひとりで生きて行くことを訣意《けつい》した。

同時に、あいつらに対するうらみつらみをより一層高めた。