【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム

第42話

７月４日の昼前であった。

あいつらが暮らしている借家に、神辺《かんなべ》(広島県福山市)から次姉(２番目の姉・32歳)の夫婦の家族４人(銀行員のダンナと二人の男の子と合わせて４人)がやって来た。

あいつらが危機的な状況におちいったので、次姉夫婦《あねふうふ》は神辺《かんなべ》の家に移り住むことを提示した。

しかし、義母は次姉夫婦の家族にメイワクをかけたくないからと言うてエンリョした。

それが原因で大ゲンカになった。

「だから!!私たち家族は義母さまたちにうちへ来たらどうかと提示しているのよ!!私たちは厚意《こうい》で言うているのよ!!」
「わかってるわよ…」
「だったらお願いしますと言えや!!」
「あのね!!アタシたち家族は、おかーさんたちを助けるためにここへ来たのよ!!主人は銀行の勤めを休んだのよ!!子どもたちも学校を休んでここへ来たのよ!!」
「分かっているわよぉ…」
「それなら、今すぐに出発しましょう!!おかーさんはアタシたちの提案にどういう不満があるのよ!!」
「不満なんかないわよぉ…」
「ますますはぐいたらしいわね!!おかーさんは神辺《かんなべ》に行きたいのか行きたくないのかどっちよ!?」
「行きたいわよぉ…だけどその前に…」
「いいえ!!今すぐに出発します!!」
「その前に市役所に手続きをしないと…」
「手続きはアタシたちが代わりに全部するから心配いりません!!」
「わかってるわよ〜」
「おかーさん!!アタシたち家族は、おかーさんたちを助けるといよんよ!!今治《ここ》で働けないのであれば、福山の近辺や岡山県に少しだけど待遇面のいいお仕事があるのよ!!そこへ再就職すればいいだけの話よ!!」
「分かっているわよぉ…」
「分かっているのだったら今すぐにこの借家《いえ》から早く出ましょう!!」
「だけどその前に…」
「いいえ!!今すぐに出発します!!」
「その前にしなければならないことがあるのよ…たかよしが…こずえさんに…ＤＶを加えてひどい傷を負わせたので、つぐないをしないと…」
「おかーさん!!あんなやさぐれ女はほっといて今すぐに出発しましょう!!うちらは時間がないのよ!!」

次姉の言葉を聞いたあいつは、思い切りブチ切れた。

「帰れよインテリアヤロウ!!ワーッ!!」

あいつは、次姉の夫に殴りかかった。

（パチーン!!パチーン!!パチーン!!）

端にいた嫂《おねえ》が思い切りブチ切れた。

嫂《おねえ》は、次姉を平手打ちで激しくたたいたあと『帰ってください!!』と怒鳴った。

あいつらは次姉夫婦の家族との間にも深い溝を作ったので、完全に孤立無援状態におちいった。

アタシは、居直った態度を取るようになったあいつらを一生許さない!!

次姉夫婦の家族を斬《き》り棄《す》てたと言うことは、不測の事態が生じた時には助けの手をさしのべてもらえなくなると言うことよ!!

アタシは、あいつらが助けを求めてもダンコ拒否するわよ!!