【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第75話
アタシが家出してから数日後であった。

好きなカノジョと入籍を果たしたあいつは、わずか数日後に自分勝手なことをするようになった。

あいつは、同じ職場の部署で働いているOLのちづる(21歳)にのめり込んだ。

あいつは、毎朝カノジョと一緒に車に乗って職場へ出勤した。

ちづるは、1歳の時に東日本大震災による巨大津波で荒浜(仙台市若林区)にあった家と両親をなくした。

ちづるはその時、仙台市中心部にある保育所に保母さんたちと一緒にいたので、巨大津波から逃れたが、震災から一ヶ月後に一ノ関にある児童養護施設へ移った。

高校卒業後に、大船渡市内《しない》にあるJFに就職した。

あいつは、その時からカノジョにのめり込んだと思う。

10月31日の夕方6時過ぎのことであった。

あいつは、ちづるに『夕暮れの海をながめながらゆっくりお話がしたいなぁ…』と言うたあとちづるを連れて大船渡町欠ノ下向《おおふなとちょうかけのしたむかい》にある港の岸壁へ車に乗って行った。

ところ変わって、岸壁にて…

ふたりは、夕暮れの海をながめながらお話をした。

「課長…」
「どうしたのかな?」
「課長は、アタシにどうして優しくしてくださるのですか…毎朝毎朝…アタシを車で送り迎えをしてくださる気持ちはうれしいのですが…」
「気持ちはうれしいけど…不都合なことでもあるのかなぁ…」
「アタシが震災孤児だから、毎朝アタシを送り迎えしているのですか?」
「ぼくは、君のことが心配だから、助けてあげたいのだよ。」
「課長にはご家族がいらっしゃるのでは…」
「ああ…ごずえのことか…ごずえはオレを差別した…子供が産めん身体で役立たずだからボコボコに殴って大ケガを負わせて追い出した…めいこもナマケモノだからボコボコに殴って、大ケガを負わせて追いだした…」
「どうしてそんなひどいことをするのですか!?」
「ぼくは…君のことが好きなんだよ…好きだから、きみの送り迎えをしているのだよ…ぼくは、君を守りたいのだよ。」

あいつは、ちづるに対して『君を守りたいのだよぉ…』と言うた。

その前に、めいこやアタシのことをボロクソに言いまくった。

それから3時間後であった。

ふたりは、大船渡プラザホテルに行った。

ふたりは、ベッドの上で全裸《はだか》になって抱き合った。

あいつは、一生をかけて守ることを決意した。

だから、めいこやアタシにきつい暴力をふるった。

めいこは出産に向けて体を大切にしないといけない時期である。

それなのに、あいつはめいこにどぎつい暴力をふるった。

あいつは、めいこから母子手帳や健康保険証などを取り上げるなどの経済的な暴力をふるった。

11月2日頃であった。

あいつが家にちづるを連れて来た。

あいつは、家族たちに『ちづると入籍をするからめいこと離婚する。』と投げやりな声で言うたあと、めいこに離婚届けにサインをさせた。

その後、ちづるとの婚姻届けの保証人の欄にめいこの名前を書かせた。

それを聞いためいこの両親がものすごい血相であいつの家に怒鳴りこんできた。

めいこの両親は10人のヤクザの男たちと一緒に来たので、きわめて危険な状況におちいった。

その日の夜遅くであった。

めいこは、アタシがバイトしているセブンイレブンにやって来た。

めいこは、アタシに助けを求めた。

アタシは『イヤ!!』と言うて拒否した。

アタシは、外のゴミ箱の整理をしながらめいこに怒った声で言うた。

「あんたね!!アタシがシキュウキンシュで赤ちゃんを生むことができんと言うてアタシを小バカにしたのに、あとになって助けてくれだなんてムシがよすぎるわよ!!アタシはあんたを助けることはできないわよ!!アタシは、今もあんたをうらんでいるのよ!!帰んなさいよ!!」
「こずえさん…アタシは今ものすごく困っているのです…きよひこさんはアタシに『オレに預かければ大丈夫だよ…信じてくれ。』と言うたから母子手帳と健康保険証を預けた…あさっての6ヶ月検診に行くのに母子手帳と健康保険証がなかったら検診を受けることができないのです…こずえさん、きよひこさんにガツンと言ってください…」
「あのね!!アイツは人の言うことを聞かないクソバカよ!!あいつがクソバカならお兄もクソバカ!!父親の権威をシッツイしたから役立たず虫ケラ以下のゲジゲジよ!!アタシは、あんたをふくめてあいつらの親類縁者たちを呪い殺すわよ!!」
「アタシは…こずえさんのように…呪うことできない…」
「あんたは、同じ職場にいたちづると言う女からも見下されてくやしいとは思わないの!?」
「ちづるさんは…震災孤児だから…」
「だからアタシは、あんたが大きらいないのよ!!」
「こずえさん…」
「あんたね!!アタシはバイト中で忙しいのよ!!店に居座って営業妨害をするのであれば、考えがあるわよ!!」
「店に居座る気はありません。」
「帰んなさいよ!!」
「こずえさん、アタシはこのまま帰ることができないのです。」
「はぐいたらしいわね!!店に居座って営業妨害をする気でいるのね!!」
「アタシは、こずえさんに助けを求めているのです。」
「甘ったれるんじゃないわよ!!あんたこそアタシにきつい暴力をふるっておいて、よくそんなクソたわけたことが言えたわね!!アタシは、温和な環境で育ったあんたが大きらいなのよ!!帰んなさいと言ったら帰んなさいよ!!」

(ドカッ!!)

思い切りブチ切れたアタシは、めいこを両手で突き飛ばして倒したあと、近くあった傘立てでめいこを殴りつけた。

ふざけるな!!

アタシをブジョクしておいて、なにが助けて助けてくれよ!!

めいこは、温和な環境で育った人間だからやっつけてやる!!

思い切りブチ切れたアタシは、傘立てでめいこをボコボコに殴りつけた。

途中でめいこがぐすんぐすんと泣き出したけど、アタシはやめなかった。

同時に、アタシはあいつらに対する怒りのレベルを一気に8段階上げた。
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