【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第83話
吉浜さんがムセンインショクの容疑でケーサツに特別手配されたことが原因で、あいつが勤務しているJFの支所は事件の翌日から機能が完全に停止した。

これにより、組合員さんの生活にかかわる共済やマリンバンクのサービスが利用できなくなった。

知らせを聞いた組合員さんたちは、よりし烈な怒りに震えた。

『支所の業務を再開しろ!!』
『本部の人間を呼んでこい!!』
『ふざけるな!!』

組合員さんたちの怒号が拡声器を経由して大きく響いた。

11月22日頃の朝8時半頃であった。

組合員さんたちとキンリンの住民たちが支所の前に集まった。

この時、組合員さんたちとキンリンの住民たちは凶器類を持っていた。

さらにそのまた上に、右翼団体の車両も停まっていた。

支所の前は、きわめて危険な状況におちいった。

右翼団体の車両のスピーカーから怒号が響いた。

「コラー!!オドレら!!日本の漁業を守る立場の人間がムセンインショクして逃げ回るとはどう言うことだ!?オドレ吉浜のクソジジイ!!出てこい!!」

このあと、組合員さんたちと住民たちが『出てこい!!』と叫んだ。

それから1分後に、別の構成員《おとこ》がマイクを使って地区一帯に向けてチャゲアンドアスカの歌の『SAYYES』の歌の替え歌で義父と吉浜さんのなれ合いと吉浜さんがいじめられた原因をボロクソに非難した。

構成員《おとこ》たちは、なおも義父の悪口を言いまくった。

しかし、それでも動きはなかった。

思い切りブチ切れた構成員《おとこ》は、怒った声で言うた。

「もうわれわれはガマンならない!!これより、支所の打ち壊しを始める!!この地区にJFはいらない!!ぶち壊せ!!」

このあと、右翼団体の車両のスピーカーからAdOの歌で『うっせぇわ』が大音量で響いた。

同時に、組合員さんたちと住民たちが暴徒化した。

(ワーッ!!ガシャーンガシャーンガシャーンガシャーンガシャーンガシャーン!!バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!ガシャーン!!ガシャーン!!ワーッ!!ワーッ!!)

暴徒化した組合員さんたちと住民たちは、破壊力が強いハンマーで入り口をぶち壊したあと中へ侵入した。

組合員さんたちと住民たちは、支所内にいる従業員さんたちを一人ずつ殺した。

同時に、略奪と打ち壊しが進行した。

その一方であった。

ちづるはJFをやめて三陸女川《さんりくおながわ》で暮らしているお見合い相手の男性と結婚して専業主婦で通すことを決めた。

ちづるは、11月23日にダンナさんと挙式披露宴を挙げて24日に4泊5日の予定でプーケットへハネムーンに行く予定であった。

しかし、11月20日にダンナさんのおじいさまが呼吸不全で亡くなった。

挙式披露宴は、告別式に変更された。

その日の夜であった。

ちづるは、ダンナさんの母方の親せきの家にいた。

ちづるは、せっかく楽しみにしていた挙式披露宴が延期になったので沈痛な表情を浮かべていた。

ダンナさんは沈痛な表情を浮かべているちづるに優しく声をかけた。

ちづるは『話がゼンゼン違うわよ!!』と怒った。

ダンナさんと大ゲンカを起こしたちづるは、家から飛び出した。

その後、泣きながら夜道をとぼとぼと歩いた。

事件は、その時に発生した。

「いっ、イヤ…何なのよ…イヤー!!」

ちづるは、ゾンビのふくめんをかぶった男6人に取り囲まれた後、近くにある雑木林につれて行かれた。

「やめて!!やめて!!やめて!!」

ちづるは、ゾンビのふくめんをかぶった男6人から集団レイプの被害を受けたあと殺された。

11月23日の早朝6時頃であった。

ところ変わって、漁港の駐車場にて…

この時、白のカローラのライトバンの中に青いビニールシートで包まれている大きな物が積み込まれていたのを通りかかった住民たちが発見した。

住民たちは、すぐに警察署に届け出た。

それから1時間後のことであった。

かけつけた捜査員たち20人が車に積まれていた例の物体を回収した。

その後、青いビニールシートをといた。

この時、ちづるがボロボロに亡くなった状態で発見された。

「課長!!」
「どうした!?」
「傷いて亡くなっている女性を発見しました!!」
「早よ鑑識を呼べ!!」

この時、ちづるのダンナさんの家にちづるが殺された知らせが伝わった。

家は、二重の悲しみに包まれた。

一方、集団でちづるを殺した男6人はめいこからひとり200万円の現金を受け取った後、行方不明になった。

宮城県警《けんけい》の捜査1課は、むずかしい対応を迫られた。
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