【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム

第87話

日付が変わって、12月１日の深夜２時半過ぎであった。

バイトを終えたアタシは、そうとう疲れていたので急いで帰宅することにした。

その時、アタシは均当台公園であいつとめいこがもめている現場を目撃した。

めいこは、きよひこあいつに対してＴ田さんが交通事故で亡くなったことをシツヨウに問い詰めた。

あいつは、具合が悪そうな声でめいこに言い返した。

「だからＴ田が交通事故で亡くなったこととオレがどういう関係があるのだよ…かんべんしてくれよぉ…」
「アタシ!!思い切り怒っているのよ!!Ｔ田さんをどうして殺したのよ!?」
「お前がＴ田からセクハラを受けたからお前に変わってかたきを討ったのだよ…」
「違うわよ!!アタシは!!Ｔ田さんを愛していたのよ!!Ｔ田さんの赤ちゃんを産みたかったのよ!!」
「めいこの言うていることはオレ分からないよ…帰るよ…寝かせてくれよ…」

あいつがその場から立ち去ろうとしていた時であった。

めいこがあいつにとびかかった。

押し合いへし合いの末に、あいつはめいこを思い切り突き飛ばして倒した。

「ああ…赤ちゃん…赤ちゃん…苦しい…何でひどいことをするのよ…」
「ふざけるなよ!!オレはＴ田が死んだことについては知らないからな!!アバよ!!」

あいつは、苦しんでいるめいこを置き去りにして帰ろうとした。

その時であった。

突然飛んできた石があいつの顔を直撃した。

「ああ!!左目が!!左目が!!ああ!!見えない!!」

その時であった。

刃渡りのするどいナイフを持った女が現れた。

女は、ワーッと叫び声をあげながらきよひこの背中をナイフで刺して殺した。

「グワーッ!!グワーッ!!」
「思い知ったか!!こずえちゃんに暴力をふるったからかたきうちよ!!」

アタシのかたきうち…

どういうことよ…

もしかして…

つばきちゃん!?

あいつを殺したのは、つばきちゃんだった。

そして、つばきちゃんはめいこも刃物で刺して殺した。

その後、つばきちゃんは現場から逃走したあと行方不明になった。

事件の翌々日のことであった。

アタシは、事件によるショックが原因でバイトに行く気力をなくした。

アタシは、つばきちゃんにラインでひっきりなしに呼び掛けたが、全く応答がなかった。

つばきちゃんお願い…ケーサツに出頭してよ…

つばきちゃんお願い…

つばきちゃんは逃げ回る方を選ぶの…

アタシは、何度も繰り返してつばきちゃんに呼びかけた。

しかし…

アタシにカンショウして来ないでよ!!

つばきちゃんとの連絡は、このメッセージを最後に途絶えた。

それから10日後であった。

アタシは、バイトをクビになった。

自暴自棄におちいったアタシは、仙台市内《しない》のホストクラブに入り浸りになった。

そのあげくに、売り上げナンバーワンのホストを私物化した。

それが原因で、もめごとに巻き込まれた。

その日の夜であった。

アタシは、ゾンビのふくめんをかぶった男７人に取り囲まれた後、近くの公園の身障者用のトイレにつれて行かれた。

「イヤ!!やめて!!やめて!!ギャー!!」

アタシは、男たちからボロボロに傷つくまでシツヨウに犯された後、公園に置き去りにされた。

悔しい…

恥ずかしい…

アタシ…

どうすればいいのよ…

置き去りにされたアタシは、公園の片隅でぐすんぐすんと泣いた。

つばきちゃんは、それから３日後に多賀城市内のパチンコ店で他の客と乱闘騒ぎを起こしてケーサツに逮捕された。

逮捕されたつばきちゃんは、あいつとめいこを殺した容疑で再逮捕された。