クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
1.許嫁と新しい春
空手では目にも止まらぬ素速い蹴りと突きで、相手を翻弄する。
剣道では一瞬の隙を見逃さず、相手の懐に潜り込んで瞬時に竹刀を振り下ろす。
素人目でも鮮やかすぎて、息を呑んで見惚れてしまうくらい。
「九竜くんカッコイイ!!」
更には芸能人と言われても納得してしまうくらいのイケメンで、常に女子の視線を一心に集めてる。
「……。」
本人は女子たちの熱い視線にも、黄色い歓声にも見向きもしないけど、それがまたクールで硬派だと大人気。
これが学校での彼の姿。
でも、
「あ、あの、蒼永…」
「ん?」
「そ、そろそろ離してほしいんだけど…!」
「やだ」
私の前では大違い。
起きぬけに後ろから抱きしめられたと思えば、そのままなかなか離してくれない。
これから朝ごはんの準備をしようとしてたのに、何もできない。
それどころか、耳朶を甘噛みされたり頬や首筋にキスしてきたり…!
「ひゃ…っ、やめて…!」
朝から甘々モードがすごすぎる…!!
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