クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
* * *
「疲れた…」
「お疲れ〜!」
やっと手合わせと稽古を終え、蒼永の自室で一息つく。
流石の蒼永もヘトヘトだ。
やっぱりおじいさまの稽古は尋常じゃないみたい。なのに当のおじいさまはものすごく元気なんだよね…。
「ごめん咲玖、本当は休みだったのに」
「全然大丈夫だよ」
「せっかく二人きりで過ごせたのに…」
こてん、と私に寄りかかる蒼永がかわいくて、キュンとしちゃう。
「でも嬉しい報告だったじゃない!弟か妹ができるなんて」
「咲玖もでしょ」
「え?」
「俺と結婚したら義理の兄弟」
「…!!」
そ、そっか…!!
そういうことになるのか…っ!
だから私も呼ばれたの!?
「気づいてなかったでしょ」
「そうだね…」
「忘れないで…」
蒼永はぎゅっと抱きしめる。
「咲玖は俺のものなんだから」
「わ、忘れてないよ…!」
「ほんとに?」
私は昔から蒼永の目に弱い。
真っ直ぐ見つめられると、吸い込まれそうになる。
「みんな咲玖のこと見てた…」
「え!?やっぱり何このトロそうな子って思われたかな!?」
「違うでしょ…もっと自覚してよ」
「…!?」
――えっ…、押し倒された!?
力強く押されたわけでもないのに、ベッドの上に倒され見下ろされる状態に。