クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
美少女というのは常に敵を作るものだ。
あたしのかわいさが罪というのも、まあ一理ある。
だけど、あたしに八つ当たりしてなすりつけるのはお門違いというものだ。
「フラれたのはあんたがブスだからでしょ」
「はあ……?」
「他人のせいにして罵って、性格ブスだからフラれたのよ」
「……っ!!テメェ……!!」
うわ、暴力とかヤバすぎ。
竹石くん、なんでこんな女と付き合ったの?
趣味悪すぎでしょ――……
手を挙げる性悪女を前にして、あたしは何故か冷静にその瞬間を見ていた。
このままだと殴られるな……。
「せんせぇーーっ!こっちで喧嘩してます!!」
突然の大声で性悪女の手が止まった。
表情に焦りの色がありありと見える。
「くっ、このクソ女……!」
そう吐き捨てると足早に逃げて行った。
性格も悪ければ口も悪い。ますます最悪ね。
「大丈夫!?翠夏ちゃん!」
「えっ…咲玖ちゃん?」
さっきの声、咲玖ちゃんだったの……?
「怪我はない!?」
「う、うん…先生は?」
「いないよ!翠夏ちゃんが危なかったから、咄嗟に嘘ついちゃった」
そうだったんだ……。