クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
広すぎる居間に行ったら、うちの両親と祖父母が来ていた。
「咲玖〜」
「咲玖、顔赤いけどどうかしたの?」
「別に何も…!?」
つーかパパとママ、もうお酒飲んでるんだけど…。
早すぎない…?
おじいちゃん、おばあちゃんも蒼永のおじいさまと一緒に新しい孫の誕生を喜び合ってる。
「いやー本当にめでたいな!青人、永美里ちゃんおめでとう!」
「ありがとう」
「男の子だったら咲玖、結婚して〜って言われちゃうかもよ?」
「そんなわけないでしょ…」
ママってばもう酔っ払ってる…。
「弟でも咲玖は渡さない」
「蒼永!?」
「やだ〜!愛されてるのね〜!!」
「蒼永は本当に咲玖ちゃん大好きだものね」
「酒が進むね!!」
……もうやだ、本当に恥ずかしい。
あとうちの両親はただお酒が飲みたいだけだと思う。
そんな感じで夜遅くまでお祝いの席に託けた飲み会は続いた。途中で私と蒼永はこっそり抜けた。
「ほんとにもう…うちの家族は…」
「咲玖の家族がいると賑やかだね」
「うるさくてごめんね…」
「楽しくていいと思う」
そう言うと不意打ちで軽く触れるだけのキスをされる。
「ちょ…っ!家族がいるのに…!」
「誰も見てないよ」
…またこの目だ。
独占欲に満ちた私だけに向ける甘い眼差し。
満月だけが見ている静かな夜、ゆっくりと影が重なり合った。