クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
「あのーーーー、蒼永……?」
「何?」
「な、なんでこの体勢……?」
部屋着に着替えた私は、ガイドブックを持ってソファに座ってる蒼永の隣に座ろうと思ったら、引っ張られて足の間に座らされた。
つまりバックハグされて座っている状態。
「いいじゃん。それよりどこ行く?」
蒼永は気にすることなく、ガイドブックを器用に開く。
蒼永の吐息が耳にかかってゾクゾクする。
もーーーーこんなの集中できないじゃん……っ!!
「清水行ってからだからその周辺がいい?」
「……っ」
「ねぇ、咲玖」
「〜っ、わざとやってるでしょ!?」
「何が?」
いちいち吐息がかかるんだってば……!!
絶対わかっててやってる……この悪戯っぽい笑顔は絶対確信犯だ!
なのにキュンキュンしてしまう自分が憎い……っ!!
「ごめん、これでも結構浮かれてて」
「そっそうなの?」
何それかわいい。キュンポイント加算。
「……京都って、あんまりいい思い出なかったんだけど」
「え、なんで?」
「言わなかったっけ?うちの分家があるの京都って」
あーー、そういえば聞いたことあるな。
九竜道場って京都にもあるんだよね。蒼永の実家程大きくはないらしいけど。
おじいさまはたまに京都へ出張して、教えに行ったりしてるとか聞いたことあるのを思い出した。