クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
ちなみに、京都の道場を取り仕切ってるのはおじいさまの弟さんに当たるらしい。
蒼永からすると、大叔父さんってところかな。
「中学の時、長期休暇で寮が閉まる時は分家に行かされてたんだけど、あんまり歓迎されてなかった」
「そうなの?」
「本家の跡取りだからってすごく気を遣われるけど、良く思われてないのも何となくわかる」
なんかよくわからないけど、色々複雑なんだろうなぁとざっくり解釈した。
私みたいな一般家庭に生まれた人間には、わからない世界なんだと思う。
「正直修学旅行が京都って知った時はちょっと憂鬱だったけど、咲玖が楽しそうならいいかと思って」
「ごめんね!?私一人でのんきだったね!?」
「いいんだよ。咲玖と一緒なら楽しい思い出に上書きされるから」
「蒼永…」
「本当はもっとずっと一緒にいたい」
「っ、私も……」
――もしかして、アラームが鳴るなら今なんじゃないかな……?
なんてくだらないこと考えていたら、もっと引き寄せられて今度は膝の上に乗せられる。
つまり、抱っこされている。
「っ!?ちょっと……!?」
何これ、さっきよりもっと恥ずかしい……っ!!
もっと距離が近くて密着してて、心臓のドキドキが聞こえてしまいそう。
「咲玖……」
あと数センチの距離がドキドキしてもどかしい。
でも、嫌じゃない。
なのに、蒼永に触れられるだけでビクッとしちゃう。