クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
蒼永、大丈夫かな?
無事に帰れてるといいんだけど――……
スマホを見たら京都駅に着いたので、これから新幹線に乗ると連絡があった。
「気をつけてね」と返信してスタンプも送る。
ああ、もう行っちゃうんだ……。
「バカ!寂しがってる場合じゃない!
おじいさまが大変な時なんだからっ」
私は頬をパンパン叩く。
気を取り直し、とりあえずホテルのある最寄駅に行って、定刻までお土産を見ることにした。
パパとママから「これ買ってきて」って言われてるのがあるし、蒼永の分までいっぱい買おう。
「あれ、白凪ちゃん?」
声をかけられて振り向くと、藤田くんがいた。
「藤田くん」
「どうしたの?一人?」
「えっと、ちょっと色々あって…」
「彼氏は?」
「……用事があって、帰ることになっちゃって」
「帰ったの!?」
えーと、どうしよう、なんて説明したらいいかな…。
あまり誤解させても嫌だし、素直に家族が急病になったと伝えた。
「そうだったんだ…でも彼女置いて一人で帰ったってこと?」
「私が行ってって言ったんだよ」
「…そうなんだ」
「藤田くんは?みんな一緒じゃないの?」
「あいつらは向こうの方にいる」
「そっか。じゃあ、私行くね」
立ち去ろうとする私に向かって、藤田くんが呼び止める。
「――よかったら、一緒に回らない?!」