クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
突然の申し出に驚き、思わず足を止めて藤田くんを見つめた。
藤田くんは顔が若干赤かった。
「…無理にとは、言わないけど…」
「ありがとう。でも大丈夫」
私は明るい笑顔を努めた。
「それじゃあ、またね」
「う、うん…」
藤田くんは優しいな。
一人になった私を気遣ってくれて。
ホテルに帰ってもみんなに心配かけないように、なるべく明るく!
私が落ち込んでても仕方ないんだから。
スマホを見ると、まだ蒼永からの連絡はない。
まだ新幹線に乗ってる頃だと思うけど、一番不安なのは蒼永だと思うから。
おじいさまが無事でありますように――……
* * *
「えっ!?九竜帰ったの!?」
「おじいさんが倒れたなんて……」
ホテルに戻り、桃ちゃんと大志くんと話せる時間ができたので、蒼永のことを話した。
「うん、うちの親にも連絡したから大丈夫だとは思うんだけど…すごく心配で」
「そうだったんだ……」
「咲玖は大丈夫なの?」
桃ちゃんは心配そうに私の顔を覗き込む。
「大丈夫だよ」
「九竜が行ってからどうしてたの?」
「一人でお土産見てた」
「連絡してくれたら僕たち合流したのに…」
「ありがとう。でもデートの邪魔したら悪いかなって」