クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ


要するに、大伯母は本家の跡取りの座を狙っていた。
でも俺が生まれたことで、その野望は頓挫した。

しかし、現当主のじいちゃんが倒れたと聞けば、再び跡取りを狙ってくるだろう。


「私は今死ぬつもりはないが、姉なら私の命を奪うくらいのことは考えそうだ」

「で、でも実の姉弟なんじゃないの…?」


巧さんは大袈裟なんじゃないかと言いたそうだった。
まあ、そう思うのも当然だと思う。
だけど、じいちゃんはキッパリ否定した。


「血を分けた姉だろうが、関係ない。あれはそういう女だ」


そこで、秘書の茶山さんがじいちゃんに何かを耳打ちした。
それを聞いた途端、じいちゃんは表情を歪ませる。


「あの女…、早速動き出したか。
――自分の孫と蒼永を婚約させたいと」

「……」


……じいちゃんの言った通りだ。

大伯母は跡目を狙ってきた。
それも一番最悪なやり方で。


「蒼永にはもう決まった相手がいると言って断れ」
「かしこまりました」

「安心しなさい、咲玖さんに手出しはさせん。」


じいちゃんが一番懸念しているのは、咲玖をはじめとした白凪家に圧力をかけてくること。
だから、巧さんと舞子さんに伝えておきたかったし、咲玖の祖父母にも事前に伝えている。

ただ、咲玖にはまだ話していない。


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