クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
ふふふ、結構いいスケジュールで回れた気がする!
パレードをちゃんと見たことなかったから、楽しみだなぁ。
「――あ、電話だ」
「誰から?」
「…父さんだ。ちょっと電話してくるから、先に食べてて」
「あ、うん」
蒼永が電話をしに席を外した後に、料理が運ばれる。
せっかくネズミーランドに来たらそれっぽいもの食べたい!ということで、キャラクターをイメージしたかわいいメニューにした。
食べるのがもったいない。
とりあえず写真を撮りまくる。
「このハンバーグがメッキーの形になってるのかわいいよね〜」
どうしよう、先に食べてていいって言われたけど…蒼永、まだ戻らないかな?
「あのー、すみません」
「はい?」
「椅子を一つお借りしてよろしいでしょうか?」
今日2度目のお願いだった。
「はい、どうぞ」と答えてその人を見たら、何という偶然。
まさかの昼間にも椅子を貸した、あのかわいい女の子だった。
胸に貼られたシールも同じ。
「……あ、またお会いしましたね」
「――ああっ!昼間もお借りしましたね。ありがとうございます〜」
「いえいえ」
「……餃子?かわいいですねぇ〜」
彼女はもう一つの椅子にどっかりと置かれている餃子を見て微笑んだ。
「あはは、ありがとうございます」
「それでは、失礼します。ありがとうございました〜」
そう言ってにこやかな笑みを浮かべ、椅子を持って行くその子が去り際に零した言葉は、私の耳には聞こえていなかった。
「……餃子とか何?ダッサ」