クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
そこへ、SPにエスコートされてもう一人車から降りてきた。
俺と同い年くらいと思われる、髪の長い女子だった。
誰だ?会ったことあったっけ……。
その子は、大伯母の隣に立つと、まずじいちゃんに向かって笑顔で挨拶した。
「お久しぶりです、おじさま。
結愛のこと覚えていらっしゃいますか?」
「ああ、もちろんだとも。大きくなったな」
「孫の結愛です」
「虹ヶ崎結愛です!
よろしくお願いします」
結愛と名乗ったその子は笑顔で挨拶する。
えーと、つまり俺にとっては、はとこに当たるのか……。
父さんの従兄弟の娘ってことだから。
結愛と目が合った瞬間、ニコッと微笑まれた、ような気がした。
それから大伯母と結愛を客間に通し、上辺だけの世間話と近況報告をした。
なんでこんな普通の会話なのに、張り詰めた空気になるんだろう…。
本当に早く帰ってくれないかな。
「ところで永美里さん、その身重の体では何かと大変でしょう?」
「いいえ、問題ありません。夫も息子も私を気遣ってくれますから」
「そうですか。蒼永さんは跡取りとして立派に成長されているようですね。
跡目を蹴った青人さんの子が、務めを果たせるのか不安でしたが…」
「……。」
この人、直球で刺してくるんだよな…。
気遣ってるように見えるけど、必ず皮肉を入れてくるところが苦手。