クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
「…嫁入りした姉さんが口を出すことではない」
「貴方はそうやっていつも親族を遠ざけようとするけれど、それが本家の格を落としていることに気づいていないようね。
永美里さんだって…」
「――伯母さん」
珍しく父さんが静かだけど、大声をあげた。
「自分はともかく、父や妻を貶める発言は控えてください。
息子には既に大切に思う人がいます。僕たちにとっても、もう家族同然です」
父さん――……
「……そう。先が思いやられるわね」
そう呟くと、大伯母はゆっくりと立ち上がった。
「今日のところはお暇致しましょう。結愛、参りますよ」
「はい、おばあさま。
あ、そうだ――蒼永くん」
結愛は俺の目を真っ直ぐ見つめて微笑んだ。
「結愛、9月から蒼永くんの高校に編入するんです〜!」
「え……」
「しかも、特待生になっちゃいました!」
マジか……。
まさか、これも大伯母の差金――?
「だから、これからよろしくお願いしますね?先輩っ」
「……よろしく」