クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
「咲玖さんって言いましたっけ?
こんな立派なお家のお嫁さんになるの、大変じゃないですか〜?」
「え?」
「気後れしちゃったりしないんですか?」
「結愛…!」
咲玖に余計なこと言う前に、咲玖から離さないとダメだ……!
だけど、咲玖はケロッとして答えた。
「今は大丈夫です!最近はお家のお手伝いもさせてもらえて、慣れてきたので!」
「でも、咲玖さんって一般家庭なんでしょ?
格差とか感じたりしないんですか?」
「格差?お家の大きさにですか?
うーん、昔からずっと大きなお家だからなぁ」
「……咲玖さんって、何か武道はされてますか?」
「全くです!私運動は全然ダメなので!」
「全然って…それで九竜家の妻が務まるんですかー?」
「私の分まで蒼永がすごいから!大丈夫ですよー」
「……。」
……咲玖、結愛の嫌味が全く通じてないな。
表情はニコニコしてるけど、段々イライラしてるのが俺でもわかる。
「最初は不安に思うこともあったけど、家族もみんな助けてくれるし!
何より、蒼永と一緒にいたいから!…私のこと大事に想ってくれてるのがわかるので」
ふわっと微笑んだ咲玖がかわいくて、後ろからぎゅっと抱きしめた。