クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ


「え、お父さん?お母さんから教わったんじゃなく?」

「あ、我が家の料理担当は父なので」

「えっあの話本当だったんですね!」

「あの話?」

「咲玖さんの家は、お母さんの方が稼いでるって!
お父さんは出世コースに乗れなくて、仕方なく家事をしてるっていう…」
「結愛ちゃん!」


思わずその場がシーンと静まり返った。
それくらいの大声をあげてしまった。


「今の言葉は撤回して。
父は仕方なくなんかじゃない、私たち家族のために一生懸命頑張ってくれてるの」


出世コースに乗れなかったわけじゃない、自ら乗らなかったとママが言ってた。
ママのことを思って、自分は家事を積極的にやることを選んだと。

私はパパのそういうところが大好きで、尊敬してるんだから。


「……や、やだぁ、そんなに怒らないでくださいよ〜。結愛こわ〜い」

「あ、大声だしてごめんね…」

「いえ〜、結愛もごめんなさい!
ちょっと結愛、お手洗い行ってきます〜」


そう言って席を外した結愛ちゃん。

私は「やってしまった…」と反省した。
ついあんな風に大きな声をあげてしまったけど、蒼永のはとこだし年下なんだし、もうちょっと優しい言い方があったよね!?

知り合ってまだ日が浅いのに、こんな風に怒るみたいな言い方するのはよくなかった…。


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