クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
ちょっと離れて視線が絡み合って、触れるだけのキスを交わす。
「…俺たちが出会えたのは、じいちゃんたちのおかげだけど、そうじゃなくても俺は咲玖に惹かれたと思う」
「え?」
「俺には、咲玖しかいないってこと」
「……それを言うなら、私もだよ?」
そう答えたら蒼永はまた微笑んで、もう一度唇を重ねた。
――私も、そうかも。
幼馴染として、許嫁として出会ってなかったとしても、蒼永のこと好きになってた気がする……。
またぎゅうっと抱きしめられて、すごく幸せな気持ちになったけど、なんだかそれだけでは足りないように感じた。
もっと近づいてもっと触れ合って、それ以上に……
「……っ!?」
――あれ、今私、どんな想像した……?
「咲玖?どうかした?」
「えっ!?いや、なんでもないよっ!?」
「…さっきなんでも話すって言ったのに」
「ほ、ほんとになんでもないから……っ!!」
こ、こんなこと、言えないよ……っ!
蒼永とキス以上のこと想像しちゃったなんて――。
しかもこんな突然に思うことなの!?
でも、もっと触れ合いたいって思っちゃったんだ――……。
怖いとか、恥ずかしいとかって気持ちよりも、ずっと。