クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
私、白凪咲玖の許嫁・九竜蒼永は私に対してだけめちゃめちゃ甘い。
学校のみんなは知らない、私だけが知ってる蒼永。
それはすごく嬉しいんだけど…。
「もうっ、いい加減に…!」
「だって、ずっと部活ばっかで全然咲玖と一緒にいられなかったから」
「そうだけど…」
「咲玖、耳弱いよね…」
「わかってるならやめて…っ!」
孫同士を結婚させることが悲願だったお互いのおじいちゃんに決められ、生まれた時から許嫁だった私たち。
既に家族同然だったけど、「祖父に決められた許嫁」から「両想いの許嫁」に変わったのが去年。
私の左薬指に光る指輪が、二人の将来を物語っている。
「咲玖…」
「ん…っ」
蒼永のキスはいつもとろける程甘くて、すぐに夢中にさせられてしまう。
何度も何度もついばむようにキスされて、酸欠になりそう。
私が拒めないって知ってるんだろうけど…っ、流石にもう……っ!!
「――朝ごはんの準備がしたいんだってば!!」
AM8時を少し過ぎた頃。
やっと蒼永は解放してくれた。
これもおじいちゃんたちの計らいで、高校生になってから私たちは二人で同居している。
いつも部活が忙しい蒼永と過ごせる、久しぶりの休日。
朝から酸欠になりそうだった…。