クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
疲れたと言っても精神的に疲れただけだし、中途半端に体を動かして逆に変な感じがしたから、やっぱり練習して帰ることにした。
着替えるのが面倒なので、そのまま空手部の方に行く。
「ハッハッハッ!よくやった、九竜。
これで女子マネは間違いない!!」
「…はあ」
「何故かかわいいマネが入るのは、いつもサッカー部や野球部、バスケ部ばかりだ。だが今回は違うぞ!」
「よかったですね」
せめてまともに仕事してくれるマネが入ることを祈るしかないな。
剣道も空手も。
「ところで九竜、飯でも行かないか?奢るぞ」
「いや、彼女待たせてるので」
シャワー室で汗を流し、着替えてさっさと部室を出る。
早く咲玖に会いたい。
「咲玖!」
咲玖のクラスの教室に行くと、咲玖の他にもう一人だけいて、後は誰もいなかった。
「あ、蒼永!お疲れ!」
「ごめん、お待たせ」
「全然大丈夫だよ」
「初めまして」
「あ、こちら友達の華村翠夏ちゃん」
「華村翠夏でーす。お噂はかねがね聞いてまーす」
「どうも…」
それから華村も入れて三人で帰ることになった。
俺と咲玖は学校から家まで徒歩圏内だし、すぐに別れることになると思ってたけど。
「ねぇねぇ、せっかくだからちょっと喋ろうよ」