クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
「知り合い?」
「九竜くんは知ってるかな?今年からS組に転籍した、住江緋色ってゆうの」
ああ、そういえば一人来たな。
名前は全く覚えてなかったけど。
「同じかるた部なんだよね」
かるた部があったとか知らなかった。
さっきの部活紹介にもあったっけ?
「うちのかるた部、同好会降格間近の人数だけど、緋色はすごいんだぁ。
名人目指せるくらいの実力で、去年全国高校選手権で個人優勝して、特待生になったの」
「へー、すごい…!」
「一応学校で表彰もされてたんだけどね〜、誰も覚えてないよねぇ。
ほとんどの話題は九竜くんだったしぃ」
…そうだっけ。
別に話題を攫った覚えはないけど。
「2年はあたしと緋色しかいないから、多分部活の連絡とかで行くと思うし。
あたしも一人でS組の校舎行くのは緊張するし、咲玖ちゃんがいてくれたら安心だなぁ」
「そっか…!一緒に行こうね!」
「何かあれば俺が会いに行くよ」
「えっ!!」
来てくれてもいいんだけど、あんまり咲玖をS組の奴らに近づけたくないんだよな。
その住江って奴は知らないけど、前の松川みたく咲玖にちょっかいかけてくる奴がいるかもしれないし。