クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ


翠夏ちゃんは両手を頬に当て、上目遣いで蒼永の顔を見つめる。

な、なんてあざといポーズ…!!
めっちゃかわいい!!
こんなのされたら、男子はみんなメロメロだよ…!

蒼永は惑わされないってわかってるけど…やっぱり翠夏ちゃん、蒼永のこと狙ってる?


「そーだ九竜くん!緋色と話した?」
「いや」
「えー、そっかぁ。陰キャなかるたヲタクだけど、悪いやつじゃないから!
仲良くしてあげてくれる?」
「はあ…」


気のせいだと思いたいけど、翠夏ちゃんの一挙一動にヤキモキしてる自分がいる。

ちゃんと本人に確認したほうがいいよね…?

私もこれ以上モヤモヤしたくないし、ちゃんと確かめたい!
でも、本当に蒼永のことが好きなら…友達にはなれないのかな――。


* * *


放課後は調理部の活動。
今日はアクアパッツァを作った。我ながら美味しく作れたので、今度夕飯の献立に入れてみよう。

調理室から出ると、思いっきり誰かと衝突した。


「いたぁっ!」


弾みで転んで尻餅をついてしまう。


「す、すみませんでした…!ちゃんと前見てなくて…っ」


衝突した相手は長めの黒髪にメガネをかけた男の子だった。
その子の周りにはカード?が散らばっている。


「大丈夫ですかっ!?」
「あ、はい大丈夫です」


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