クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
住江くん、面白い人だったな。
蒼永も話してみたら意外と仲良くできるかも。
蒼永の道場でかるたやったこともあったなぁと、今更ながらに思い出した。
あの時は今は亡きおばあさまが読み手をやってくれたんだよね…。
* * *
その翌日。
私は朝から翠夏ちゃんに話があると、階段の踊り場に呼び出していた。
話すなら、早い方がいいと思った。
「どしたの、咲玖ちゃん。なんか顔怖くない?」
「あの、翠夏ちゃん…っ」
「何?」
「翠夏ちゃんは、蒼永のことが好きだよね?」
「えっ?」
驚いたように目を見開く翠夏ちゃん。
これはわざと?ほんと?
「もし好きなら、諦めて欲しい…。蒼永は私の許嫁なので、翠夏ちゃんでも譲れないから…」
「えっ待って咲玖ちゃん!違うよ!」
「え?」
「あたしが好きなのは、緋色だから…っ!」
――え?
住江くん??
「ごめん、そうだよね…誤解するに決まってるよ。自分のことばっかり必死だから、嫌われるんだよね…」
「え、ちょっと待って。蒼永が好きなんじゃないの?」
やけに距離近かったり、めっちゃアピールしてなかった…?
「…緋色、今年からS組でしょ?1年の時もかるたばっかでクラスで浮いてたし、友達いなくて。
見た目も冴えない陰キャだし、S組のイケイケな人たちにいじめられないか不安で…。
だから九竜くんに緋色はいい奴ってアピっておきたかったの」