クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
突然蒼永に手で口を塞がれた。
「他の男の話しないで。妬くから」
「――…っっ」
「今は俺と一緒にいるんでしょ?」
「…そう、だよね…っ」
その時、何故か「せをはやみ」の歌が脳裏に浮かび上がった。
川の激流のような恋情って、こういうことを言うのかな…。
すっごく胸の奥がぎゅうって締め付けられて、ドキドキが止まらない。
「む、昔おばあさまと一緒にかるたしたの思い出して…懐かしくなったから…っ」
「ああ、そういえば」
ドキドキしてる心臓の音を誤魔化したくて、必死な私。
「…だから、えっと、いつも蒼永のこと考えてるよっていう…」
「……。」
「…蒼永?」
「いや、自分の心の狭さに嫌悪しただけ」
「えっそうなの!?」
今のどこが狭かったんだろう!?
「咲玖の友達なら仕方ないと思ってたけど、なかなか二人きりになれなかったのに住江の話ばっかりするから…面白くないなぁって。
…ガキっぽいなって思っただけ」
えーーーー…なんか蒼永がかわいい…!!
さっきとは全然ベクトルの違うキュンキュンが止まらない…っ!!
嬉しいな…蒼永も学校でももっと一緒にいたいって思ってくれてるってことだよね――?
「春日井にも言われたから、あんまり独占欲出しすぎるのもやめようと思ってんのに」
「え、でも私は嫌じゃないし嬉しいよ?」
「…咲玖は俺に甘いよね」
「お互い様だよ」