クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
「だから私も何か協力してあげたいなって。
それにせっかく同じクラスで球技大会に参加するんだし、少しでも仲良くなりたいって思っただけなんだ」
「そっか」
「だから!蒼永が心配するようなことは何もないのでっ!」
「うん」
ちょっと離されたと思ったら、おでこあたりに軽くキスされた。
「ごめん、つまんないことで妬いて」
「…ちなみになんで妬いたのか聞いてもいい?」
「…カッコ悪いからやだ」
「教えてよ!てか学校でアレはダメだからね!?」
「……。」
蒼永はものすごく気まずそうに、若干頬を赤ながら答えた。
「…住江のこと、名前で呼んだから」
「――えっ、それだけ!?」
「うん…」
「大志くんのことも大志くんって呼んでるじゃん!」
「大志は昔からだし別じゃん…」
確かに今まで大志くんのことしか下の名前で呼んでなかったかもしれないけど、ほんとに翠夏ちゃんのが移っただけだったからなぁ…。
「あの、深い意味はないよ…?」
「わかってる。だからカッコ悪いんだよ…」
蒼永はずっとバツが悪い表情をしていたけど、私にとってはそれさえも愛しくてかわいくてキュンとしてしまう。
私が名前で呼び捨てにしてるのは、蒼永だけなのにね。