クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
振り返ると、笑顔で見つめる蒼永がいた。
「〜〜っっ、やったよぉ…!!」
まだまだ試合は始まったばかりだけど、いきなり先制点を決められるなんて…!!
練習してきたことが、ちゃんと実になってたんだ!
チームメイトにもすごく褒めてもらえて、泣きたいくらいに嬉しかった。
この調子で頑張ろう…!!
「……生意気なのよ、凡人のくせに」
だけど、そのゴールが私が決めた、最初で最後のゴールになった。
* * *
「ねぇっ!さっきからおかしいんじゃないの!?
今わざと咲玖に肘当てたわよね!?」
「てか、さっきからさっちゃん狙われてる…?
さっちゃんがボール持つと2,3人で取り囲んでるよね?」
「絶対当たったわよ!明らかに反則じゃない!
審判どこ見てんの!?」
「落ち着いて桃…」
* * *
…なんだか、様子がおかしい。
さっきから相手チームの人とよく接触する。
気のせいじゃなくて、故意にぶつけられてる気がする…。
さっきも思い切り肘をぶつけられたし、私がボールを持つと2,3人で取り囲んでぶつかって、無理矢理ボールを奪われたし…明らかにおかしいよね?
だけど、審判は笛を吹いてくれない。
「ちょっと審判!!今咲玖ちゃんにわざとぶつかってたと思うんだけど!?」
翠夏ちゃんが抗議してくれたけど、審判は素知らぬフリをしている。