クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
D組の人たちは私を見てクスクス笑っている。
絶対わざとやってるんだ…。
「咲玖ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫だよ翠夏ちゃん」
挫けちゃダメだ。
平気で反則するような人たちに負けたくない!
だけど、今度は足を引っ掛けられて派手に転んでしまった。
「咲玖ちゃんっ!!」
「あの女…っ、咲玖に何してくれてんのよ!!」
「審判!!仕事しろ!!」
翠夏ちゃんだけでなく、遠くからでも桃ちゃんと大志くんの声が聞こえる。
二人とも怒ってくれてるのがわかる。
私が起き上がると、バチリと松川さんと目が合った。
「…あら、私は何もしてないわよ。あなたが勝手に転んだだけでしょ?」
「…っ」
「あなた、私に嘘ついたわよね。九竜くんとはただの幼馴染だとか言って、結局付き合ってたなんて」
「…嘘はついてないです」
「生意気なのよ。普通科の凡人でちょっとかわいいだけのくせに、九竜くんみたいな人と付き合ってるなんて。
身の程を知りなさい」
…私にだけラフプレーが多い理由は、それなんだね。
多分審判のことも買収してるんだと思う。
別に私のことどう思ってくれてもいいけど、平気で反則して許されていいわけじゃない。
正々堂々戦えないなんて、なんて卑怯なんだろう。
だけど、点差は開くばかり。
他のみんなが必死にフォローしてくれてるけど、ラフプレーの連続と審判の黙認で思うように動けない。
ついに前半終了のホイッスルが鳴ってしまった。