クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
そのまま抱っこされて体育館を出る。
当たり前だけど注目が集まっていて、流石に恥ずかしかった。
保健室に入ったら誰もいない。
学年全体で球技大会をやっているから先生も出ちゃっているのかも。
姫抱き見られなくてよかった…。
蒼永は私をベッドの上に座らせる。
「大丈夫?痛いとこない?」
「転んだ時、ちょっとすりむいた…」
それどころじゃなくてほっといてたけど、両膝に痛々しく血が滲んでいた。
試合中はそっちにばかり集中してたけど、今になって急に痛みを感じる。
蒼永は薬品棚を漁って消毒液を取り出す。
「染みるよ」
「う…っ」
ガーゼに含んだ消毒液が傷に染みる。
化膿止めの薬を塗り、絆創膏を貼ったら終わり。
「ありがとう」
「手は?」
「大丈夫」
元々絆創膏だらけだし、これ以上絆創膏増やしてもって感じだし…。
蒼永は私の手を取ると、傷だらけの指先にキスをした。
「え…っ!?」
「3Pすごかったね」
「…、でもあの一回だけだった」
「一回でも決められたならすごいよ」
蒼永はぎゅっと抱きしめてくれる。
「よく頑張ったね」
「…っ!」
抱きしめられるとすごく安心して、また涙が溢れそうになった。