クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ


わ、私の名前覚えててくれたんだ。
ちょっと感動かも。


「あると言えばあるかな?」
「華村は全然興味ないよ」


うーーん、そんなこともないとは思うけど…。


「これ」


緋色くんが私に渡してきたのは、百人一首の本だった。


「これ、初心者でも読みやすいと思う。解説とかわかりやすくて」
「えっと…?」
「…良かったら、読んで」


貸してくれるってこと?いいの??


「いらなかったら、別にいい」
「あっじゃあお借りするね!ありがとう!」


何だかよくわからないけど、もしかしたら緋色くんなりに歩み寄ってくれてるのかもしれない。
ここはお言葉に甘えてお借りさせてもらおう。


「そういえば、球技大会楽しかったね!」
「えっ…いやあれは…」


恥ずかしそうに目を逸らし、モゴモゴする緋色くん。
球技大会でサッカーに参加した緋色くんは、パスを受け取ろうとして顔面に直撃!
でもその勢いのままゴールを決めて、大いに盛り上がった!

その試合は緋色くんの顔面シュートが決め手で勝てたので、クラスメイトからはMVPと喜ばれていた。


「顔、大丈夫?」
「もう何ともない」
「それなら良かった。またB組に遊びに来てね」
「…?用もないのに?」
「なんで?用がなくても友達だよね」


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