クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
そもそも俺が特に数学を勉強するようになったのは、咲玖が苦手だったから。
教えられるようになったら、咲玖が喜ぶかなって。
だからこうやって咲玖の笑顔が見られると、ちゃんと勉強しといてよかったなと思う。
みんなにバレないように、そっと咲玖の手を握った。
「えっ!?」
「…内緒」
「……っ!」
真っ赤になって俯く咲玖がめちゃめちゃかわいい。
あーーー…、キスしたい……。
「――なんでそんなこともわからないんだよっ!!」
突然住江の大声が響いた。
住江ってそんな大声出せたのかというくらい、大きかった。
「だってわかんないんだもん!!」
「だから今、説明してるだろ!」
「もっとわかりやすく教えてよっ!!」
なんかよくわかんないけど、住江と華村が言い争ってる。
「す、翠夏ちゃん…?どうしたの?」
「緋色の教え方が優しくない!」
「華村の理解力がなさすぎるんだよ!」
「何よーー!!」
……華村って住江が好きらしいんだけど、本当に?
この前俺が勝手に嫉妬したから咲玖に教えられ、その後華村本人からも聞いたけど…、全然そんな風に思えないな。
そもそもこの勉強会、仲良くなるために開いたものじゃなかったっけ…。