クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
住江が笑った。
嬉しそうに、少し頬を桜色に染めて。
その表情を見た時、何となく心がざわついた。
「咲玖ちゃんに本貸してたの?なんであたしには貸してくれないのよ!かるた部じゃん!」
「…華村は児童書の方がいいよ」
「どういう意味よ!!」
「まーまー」
「……。」
* * *
それからもう1時間くらい勉強して、今日は解散になった。
「じゃあ、今日はありがとう」
「お母さんによろしくね」
「またねー!咲玖ちゃん、九竜くん!」
「お邪魔しました」
丁寧にお辞儀する住江に声をかけようとして、やめた。
逆に咲玖が住江に声をかけた。
「緋色くん!今日楽しかった?」
「…え?あ、うん」
「よかった!また遊ぼうね!」
「…っ」
住江はペコっと頭を下げ、足早に帰っていった。
…長い前髪に隠れてあんまり見えなかったけど、顔が赤かったと思う。
「…………。」
住江は悪い奴じゃないと思ってる。
「蒼永〜、私カップ洗っておくね」
――でも、
「へ……、んっ」
咲玖は誰にも渡さない。
濃厚に絡め取るように口付けた後、耳たぶを甘噛みする。
「んっ、や…っ!」
そのまま舌を這わせ、首筋に強く吸い付いて独占欲の証を刻む。