クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
「ありがと〜翠夏ちゃん!助かったよ〜!」
「いえいえ」
「ところで、さっきの話なんだけど…」
「あっ!やっぱりいいや!」
「えっ?」
「ごめんね変なこと聞いて!やっぱりなんでもない!」
「そう……?」
翠夏ちゃんがいいなら、いいのかな?
「それより咲玖ちゃん、今日記念日なんでしょ?」
「!!そうなの…!」
「手紙渡すって言ってたよね?いつ渡すの?」
「実はね〜もう蒼永のバッグにこっそり入れてるんだ」
大会前で空手も剣道も練習が佳境になり、今日も忙しそうなので朝こっそり手紙を忍ばせちゃったのです。
ちょっとしたサプライズ!
気づいたかな?と思ってさっき様子を見たかったのもあったんだよねー。
「いいね〜サプライズ最高じゃん」
「えへへ」
「いいなぁ。ラブラブで羨まし〜」
「翠夏ちゃんも頑張ろ!お祭り楽しもうね!」
「そだね〜…」
あれ、翠夏ちゃん元気ない?
もしかして、不安なのかな…。
「翠夏ちゃん!浴衣着ようね!」
「え?」
「めっちゃかわいくして、緋色くんのこと驚かしちゃお!」
「…そうだね」
私はこの時、本当の意味で翠夏ちゃんが元気がない理由を察することはできなかった。
「……あたしがいくらかわいくしても、緋色は見てくれないけどね」