クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
そう言ってこの部屋にあったCDプレーヤーを引っ張り出す。
そっか、音声でかるたが読まれるんだよね。
「部活頑張ってね〜」
「…それ、手伝おうか?」
「えっ、いいよ。今部活中でしょ?」
「ちょっとくらいなら。貸して」
緋色くんは私の前に座り、栞をホッチキスで留め始める。
「ありがとう。正直終わるかなって思ってたから助かるよ」
「誰かに頼めばよかったのに」
「んー、でもみんな部活とか忙しいみたいだし」
「お人好しだな」
「そうかなぁ」
パチンパチンと、ホッチキスを留める二人分の軽快な音が鳴り響く。
部活中に手伝ってくれる緋色くんも、お人好しだと思うけど。
「…………。」
「…………。」
しばらく黙々とホッチキスを留めていく。
なんか無言の時間って気まずくなったりするものだけど、緋色くんと一緒にいる時間は落ち着くというか、無言が苦にならないな。
パチンパチンという音だけが響く時間がしばらく続く。
「そろそろ行かないと。はい、これ」
「ありがとう!すっごく助かったよ」
「ん。それじゃあ」
そう言って立ち上がった時、弾みで私のバッグが落ちてしまった。
「あ、ごめん」
「大丈夫だよ」
鞄を拾おうと立ちあがろうとしたら、足元に紙が落ちていたことに気づかなかった。
紙に足を滑らせ、そのまま倒れ込む私。
「え。」
「――わっ」