クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
「……私、今まで守ってもらってたんだよね。
何も知らないで、蒼永に無神経なこと言ってたんだ」
「そんなことないよ」
「ごめんね。これからは、もっとしっかりするから!」
咲玖の瞳に悲しみはなく、「決意」した瞳になっていた。
「その、もっとちゃんと相手のこと考える。
翠夏ちゃんとの仲取り持つことばっかり考えて、ちゃんと緋色くん自身のこと、考えられてなかったと思う。
…友達じゃなくなるかもしれないけど、ちゃんと緋色くんと向き合いたいなと…思いました」
「そっか」
「翠夏ちゃんとも、ちゃんと話したい…!
翠夏ちゃんとはずっとお友達でいたいから」
「うん」
「…という、決意表明を聞いてくれてありがとうございました」
ソファに正座したまま、ぺこりと頭を下げる咲玖。
それから、今度はちょっと頬を染めてもじもじする。
「…そ、それで、その、こんな話した後にいかがなものかとは思うのですが…一応記念日だから!
だから、えっと」
「咲玖」
俺はもじもじする咲玖に一枚の封筒を渡す。
えっ、と戸惑いながら咲玖は封筒を開けて、大きな瞳をもっと大きくさせた。
「ネズミーランドのペアチケット!?」
「実は、俺も敢えて記念日にするなら今日かなと思って」