lens
「俺、彼女できたんだ!」
高校二年生の毛利静音(もうりしずね)は、幼い頃から通い慣れたカフェのボックス席にて、幼なじみの伊達一(だてはじめ)がそう言った刹那、パフェを食べるために持っていたスプーンを落としてしまう。
「えっ?彼女?」
静音の胸がナイフで刺されたかのように痛む。今すぐにこの場所から逃げ出したい。そんな気持ちを抱えながら、静音はどこか震えた声で訊ねる。
「誰?」
「細川芽衣(ほそかわめい)。ダメ元で告ったらOKしてくれた!」
幸せそうに微笑む一を見て、静音は泣くのを堪えるために唇を噛み締める。ずっと一のそばにいて、長くこの想いを胸に秘めていたのは自分なのに。そんな気持ちがあるものの、静音の口は裏腹の言葉を言う。
「おめでとう。あの芽衣ちゃんと付き合えるなんて、すごいよ」
一の彼女になった芽衣は、チア部に所属しているクラスのムードメーカーだ。誰とでも打ち解けることができ、クラスで目立つような存在ではない静音にも気さくに話しかけてくる。そんな彼女を好きにならない理由がない。
高校二年生の毛利静音(もうりしずね)は、幼い頃から通い慣れたカフェのボックス席にて、幼なじみの伊達一(だてはじめ)がそう言った刹那、パフェを食べるために持っていたスプーンを落としてしまう。
「えっ?彼女?」
静音の胸がナイフで刺されたかのように痛む。今すぐにこの場所から逃げ出したい。そんな気持ちを抱えながら、静音はどこか震えた声で訊ねる。
「誰?」
「細川芽衣(ほそかわめい)。ダメ元で告ったらOKしてくれた!」
幸せそうに微笑む一を見て、静音は泣くのを堪えるために唇を噛み締める。ずっと一のそばにいて、長くこの想いを胸に秘めていたのは自分なのに。そんな気持ちがあるものの、静音の口は裏腹の言葉を言う。
「おめでとう。あの芽衣ちゃんと付き合えるなんて、すごいよ」
一の彼女になった芽衣は、チア部に所属しているクラスのムードメーカーだ。誰とでも打ち解けることができ、クラスで目立つような存在ではない静音にも気さくに話しかけてくる。そんな彼女を好きにならない理由がない。
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