lens
『お前ら付き合ってんだろ〜!?』

『ラブラブカップル〜!!』

小学校に入学するとそう冷やかす男子たちもいて静音は恥ずかしかったものの、一は気にすることなくこう返していた。

『女の子と仲良くしたらカップルになるのか?だったら、お前ら可哀想だな〜。女の子の友達が一人もいないもんな』

勉強や運動がそれほど得意でなくても正義感が強く、静音が困っているとすぐに一は助け出してくれる。まるでアニメに登場するヒーローのように静音には見え、いつの間にか「好き」と自覚していた。

小学校も中学校も同じクラスで、高校も同じところを受験した。部活は静音は写真部、一は卓球部と違ったものの、静音は卓球部の試合があるたびに応援に行き、一も静音が撮った写真をいつも見てくれた。

(いつか、両想いになれたらいいな……)

この胸に秘めた十年以上生きている片想いをいつ告げようか、そう考えていた矢先に一は芽衣と付き合い始めたのだ。静音の恋心を一ミリも知ることなく。
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