lens
「……まだ、「好き」って伝えられてなかったのに!」
涙を乱暴に拭いながら、静音は小声で呟く。いつからか一と一緒に来るようになったこのカフェのボックス席は一番奥にあり、他の席からは死角になりやすい。そのことが今、静音にとってありがたかった。ただ肩を震わせ、泣くことしかできない。
それでも、十年以上生きている恋心は、目が腫れ上がるまで泣いても消えてはくれなかった。
静音たちが通っている高校では、もうすぐ文化祭が訪れる。その準備に各クラスは大忙しだ。静音のクラスは執事・メイドカフェをすることになったものの、写真部の方でもフォトスポットを作ろうという話になり、静音は教室と部室を行ったり来たりしていた。
動き続けて疲れてしまい、少し休憩しようと静音は自販機に小銭を入れ、ミルクティーのボタンを押す。すると、「それおいしいよね!あたしも好き!」と後ろから声をかけられた。
「芽衣ちゃん……」
笑顔で話しかけてくる相手を見て、静音の胸が痛みを思い出していく。ミルクティーを握る手に力が入った。
涙を乱暴に拭いながら、静音は小声で呟く。いつからか一と一緒に来るようになったこのカフェのボックス席は一番奥にあり、他の席からは死角になりやすい。そのことが今、静音にとってありがたかった。ただ肩を震わせ、泣くことしかできない。
それでも、十年以上生きている恋心は、目が腫れ上がるまで泣いても消えてはくれなかった。
静音たちが通っている高校では、もうすぐ文化祭が訪れる。その準備に各クラスは大忙しだ。静音のクラスは執事・メイドカフェをすることになったものの、写真部の方でもフォトスポットを作ろうという話になり、静音は教室と部室を行ったり来たりしていた。
動き続けて疲れてしまい、少し休憩しようと静音は自販機に小銭を入れ、ミルクティーのボタンを押す。すると、「それおいしいよね!あたしも好き!」と後ろから声をかけられた。
「芽衣ちゃん……」
笑顔で話しかけてくる相手を見て、静音の胸が痛みを思い出していく。ミルクティーを握る手に力が入った。