共犯契約〜ヤクザの跡取りに魅入られて〜
「…………よし」
下駄箱で今日も何とか生き抜こうと一人気合いを入れ、上履きを履く。
情けないものだ。この学校に入学すると知ったお姉ちゃんは海外でモデルの仕事をしていたのにも関わらず、その日の便で飛んできて、必死に私を止めた。
今からでも遅くない、定時制でも何でも他の学校に入学すべきだと。両親も深く頷いていた。
しかし、心が砕け散っていた私は、ここまでお姉ちゃんに心配を掛けてしまった自分がひたすらに情けなく恥ずかしくて入学を強行し、オリエンテーションで絶望したわけだが……本当に今なら分かる。やめておけばよかった。
けれど、今さら辞めるなんて言えるわけがないし、お姉ちゃんは最後、泣きながら私に入学祝いのパスケースをくれた。
もう、ここまできたらこの学校で、何とか卒業まで耐えるしか私に残された道はないわけで……。
私は必死に、ネガティブな気持ちをかき消すように首を振り、ホームルームが始まるまでトイレに居ようと身を翻した。しかし、そこで突然下駄箱がバコン!! と大きな音を立てて揺れる。