愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~
「女官の世界ってとっても狭いんです。王城で働くのは婚活の一種でもあって、みんな少しでも良いご縁を探そうと必死なんですよ。独身の若い公爵様と仲の良いソフィアはみんなの妬みの対象なんです。」
「彼女と俺は幼馴染なんだから仲いいのは当然でしょう。」
「あの子も今までは無視してましたけど、最近は高位貴族の令嬢にまで目の敵にされるようになったから。」

それは知らなかった。
確かに今までユリウス国王に縁談を持ちかけてくれないかと言っていた貴族たちが、
自分自身にその話をしてくるようになっていた。
国王がダメなら次は公爵だなんて薄情な奴らだと思っていたが、
ソフィアにまで影響が出ていたなんて・・・

「ハンナさん。こんなことあなたに聞いていいのか分かりませんが、俺はどうしたらいいんですかね?」
そうね・・・と言って、ハンナはエルマーにとあるアドバイスをしてくれた。
ソフィアとこのままギクシャクした関係になるのが嫌だったエルマーは
大人しくハンナに言われたとおりにすることにした。
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