愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~
噛み合わない歯車
結局、エルマーの誕生日のキスに関しては
本人に真意を確かめることが出来なかった。
エルマーはそれ以降も変わらず接してくれるけれど、
ソフィアは意識しまくりだった。
ちょっとした言動に一喜一憂してしまうのは、
恋する乙女の常だろう。
そんなある日、
チーフに頼まれて中庭に続く回廊を一人で掃除していた時のこと。
「貴方、ちょっとお顔を貸してくださる?」
突然声をかけて来たのは、
真新しいドレスに身を包んだ令嬢たち数名だった。
名前は知らないがそれなりの身分の家の娘たちなのだろう。
令嬢たちの態度は明らかにソフィアに友好的ではなかったので、
嫌な予感がしたが仕方ない。
「はい。」
と短く返事をすると、令嬢たちと一緒に中庭のテラスに移動する。
「アンシュッツ子爵家のソフィアさんですわよね?」
「そうです。」
「私はカーレンベルク侯爵家のユリアーネです。単刀直入に聞きますけど、あなたシュトラウス公爵エルマー様とどういうつもりなの?」
カーレンベルク侯爵と言えば、マグノリアの鉄道事業をけん引する一族だ。
ギーゼラ様がウィステリアからお輿入れするために
マグノリアでは今、急ピッチで鉄道網が整備されている。
その先頭に立っているのがユリアーネ嬢の父であるカーレンベルク侯爵だ。
本人に真意を確かめることが出来なかった。
エルマーはそれ以降も変わらず接してくれるけれど、
ソフィアは意識しまくりだった。
ちょっとした言動に一喜一憂してしまうのは、
恋する乙女の常だろう。
そんなある日、
チーフに頼まれて中庭に続く回廊を一人で掃除していた時のこと。
「貴方、ちょっとお顔を貸してくださる?」
突然声をかけて来たのは、
真新しいドレスに身を包んだ令嬢たち数名だった。
名前は知らないがそれなりの身分の家の娘たちなのだろう。
令嬢たちの態度は明らかにソフィアに友好的ではなかったので、
嫌な予感がしたが仕方ない。
「はい。」
と短く返事をすると、令嬢たちと一緒に中庭のテラスに移動する。
「アンシュッツ子爵家のソフィアさんですわよね?」
「そうです。」
「私はカーレンベルク侯爵家のユリアーネです。単刀直入に聞きますけど、あなたシュトラウス公爵エルマー様とどういうつもりなの?」
カーレンベルク侯爵と言えば、マグノリアの鉄道事業をけん引する一族だ。
ギーゼラ様がウィステリアからお輿入れするために
マグノリアでは今、急ピッチで鉄道網が整備されている。
その先頭に立っているのがユリアーネ嬢の父であるカーレンベルク侯爵だ。