愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~
エルマーはちょうど、
カーレンベルク侯爵と一緒に仕事をしている。
というのも、来年に迫った国王の結婚式の準備で
鉄道網を整備しているからだ。
王妃はウィステリアから汽車に乗って輿入れしてくる。
そのため、ウィステリアから国境を越えて王都グラディオーレンまで
鉄道を敷く必要がある。
それには鉄道会社を経営するカーレンベルク侯爵の協力が
必要不可欠だったのだ。

鉄道整備の進捗具合を確認していた会議の終わり掛けに、
カーレンベルク侯爵がエルマーに声をかける。
「侯爵、何か御用でしょうか?」
「いえね、今度娘の誕生日パーティが我が家でありましてね。シュトラウス公にもお越しいただけないかと思って。」
しめたと思ったエルマーは二つ返事で了承する。
「そうですか、シュトラウス公が来るとなれば娘もさぞ喜ぶでしょう、いやね、娘も年頃ですからな。そろそろ結婚も考えないといけませんし。」
侯爵は意味ありげな視線をエルマーに送ったが、
それに関しては無視をした。
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