愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~
この会話のあと、
エルマーとユリアーネは何事もなかったかのように
会場に戻り、そのあとは一言も話すことはなかった。
その日以降に王城でカーレンベルク侯爵と会っても
特に何も言ってこないので
ユリアーネが約束を守っているようだ。

確かにあれだけいろんな男に手を出していることがバレたら
取り返しがつかなくなるだろう。
承認欲求の強い女は恐ろしい。

なんとかユリアーネとの件は
けりをつけることが出来たが、
次はソフィアと仲直りをしなければならない。
エルマーが機会を作ろうにも、なかなかうまくいかない。
なぜなら、ユリウスとジゼルの結婚式が間近に迫っているからだ。

結婚式の何もかもを取り仕切っているエルマーは
連日連夜、関係各所との打ち合わせや確認で大忙しだった。
1カ月の半分はウィステリアに出張している。
一方のソフィアも王妃付きの侍女として
準備に忙殺されていた。
たまに廊下ですれ違うことがあったが、
相当に怒っているのだろう、エルマーと一切目を合わさない。
(中途半端にやってもダメだ、仲直りはユリウスの結婚式が終わってからにしよう。)
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