愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~
ユリウスとジゼルの2度目の結婚は盛大に執り行われた。
前回は本当に義務的な、豪華なのに感動の薄い結婚式だったが、
今回は2人がお互いを愛する気持ちがしっかりと感じられて、
幸せで感動的な結婚式だった。
ユリウスとジゼルはもう心配ないだろう。

こっちが恥ずかしくなるくらいラブラブの国王夫妻と対照的に、
エルマーはソフィアと笑えるくらいにすれ違っていた。
国王夫妻の結婚式以降、
なぜかソフィアの態度が軟化して
すれ違ったら挨拶はしてくれるようになったが、
以前の関係には程遠い。

仲直りできる良いキッカケはないだろうかと
考えあぐねていたエルマーにユリウスが声をかける。
「王妃主催の舞踏会に誰と行くんだ?」
「あぁ。」
そんなことはすっかり忘れていた。
社交シーズンが始まる2月の最初の土曜日に、
毎年王城で舞踏会が開かれるのだ。
歴代の王妃が主催してきたが近年ではユリウスが代行していた。
今年はジゼル王妃が主催する初めての舞踏会なのだ。
「独身公爵が誰をエスコートするのか、皆注目しているぞ。」
「当日のお楽しみってことにしといてください。」
エルマーは適当に返事を済ませた。
本命はソフィアだが、今のままだと難しい。
無難なのは妹のヴェレーナだろう。
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