さくらの記憶
「さくら、俺。さくらの幸せを考えたら、自分の気持ちを押し付けられないんだ。さくらにとって、もし俺の記憶がない方が幸せになれるのなら、その方が俺も…」
「北斗さん」
さくらが、北斗の言葉を遮る。
「前に言ったでしょ?私の生き方は私が決めるって。私が幸せになる道も、私が決めます。だから、北斗さんは正直な気持ちを話して。そしたら私も、正直にそれに答えるから」
「さくら…」
北斗は、しばらくさくらを見つめ、視線を落として考えてから、キュッと口を引き締めて顔を上げた。
決意に満ちた表情で、北斗の素直な気持ちが語られる。
「俺はさくらが好きだ。どんな時も、俺の心の中にさくらがいる。これまでも、これからも、俺にはさくらが必要なんだ。ずっとさくらと一緒に生きていきたい。さくらを、自分の手で守っていきたい。そしてさくらを、俺が必ず幸せにする」
真っ直ぐ自分を射抜くような眼差しに、さくらは胸が締めつけられる。
切なくて、幸せで、嬉しくて涙が込み上げる。
「私も、北斗さんが大好きです。記憶が失くなっても、私の心はあなたを覚えています。優しく抱きしめられた温もりも、私の身体が覚えています。たとえどんなに離れても、もしまた記憶を失くしても、私の中から北斗さんが消えることはありません。北斗さんのいない人生は、私には考えられない。だから私は、北斗さんと一緒に、北斗さんのそばで生きていきたいです。これからもずっと…」
「さくら」
北斗の目が、涙で潤む。
「俺と、結婚してくれる?田舎で暮らすことになるけど。コンビニもないし、虫も出るけど。でも、必ず俺がさくらを守るから。幸せにしてみせるから」
クスッと、さくらは笑う。
「はい。北斗さんと結婚します。東京とは大違いの田舎に住むことになるし、コンビニもない代わりに虫はいるけど。でも、北斗さんがいてくれるから。北斗さんが命がけで守ってくれるのは、もう充分分かってるから」
北斗も優しく微笑む。
「結婚しよう、さくら」
「はい、北斗さん」
そして北斗は、改めてさくらの左手を取ると、そっと薬指に指輪をはめた。
まるであつらえたように、ぴたりと薬指にはまった指輪を見て、さくらは、ふふっと笑う。
「これでもう、絆創膏貼らなくて済むね」
「ああ、そうだな」
さくらは指輪をかかげて、嬉しそうに見入っている。
北斗は、そんなさくらをそっと抱き寄せると、また優しくキスをした。
「北斗さん」
さくらが、北斗の言葉を遮る。
「前に言ったでしょ?私の生き方は私が決めるって。私が幸せになる道も、私が決めます。だから、北斗さんは正直な気持ちを話して。そしたら私も、正直にそれに答えるから」
「さくら…」
北斗は、しばらくさくらを見つめ、視線を落として考えてから、キュッと口を引き締めて顔を上げた。
決意に満ちた表情で、北斗の素直な気持ちが語られる。
「俺はさくらが好きだ。どんな時も、俺の心の中にさくらがいる。これまでも、これからも、俺にはさくらが必要なんだ。ずっとさくらと一緒に生きていきたい。さくらを、自分の手で守っていきたい。そしてさくらを、俺が必ず幸せにする」
真っ直ぐ自分を射抜くような眼差しに、さくらは胸が締めつけられる。
切なくて、幸せで、嬉しくて涙が込み上げる。
「私も、北斗さんが大好きです。記憶が失くなっても、私の心はあなたを覚えています。優しく抱きしめられた温もりも、私の身体が覚えています。たとえどんなに離れても、もしまた記憶を失くしても、私の中から北斗さんが消えることはありません。北斗さんのいない人生は、私には考えられない。だから私は、北斗さんと一緒に、北斗さんのそばで生きていきたいです。これからもずっと…」
「さくら」
北斗の目が、涙で潤む。
「俺と、結婚してくれる?田舎で暮らすことになるけど。コンビニもないし、虫も出るけど。でも、必ず俺がさくらを守るから。幸せにしてみせるから」
クスッと、さくらは笑う。
「はい。北斗さんと結婚します。東京とは大違いの田舎に住むことになるし、コンビニもない代わりに虫はいるけど。でも、北斗さんがいてくれるから。北斗さんが命がけで守ってくれるのは、もう充分分かってるから」
北斗も優しく微笑む。
「結婚しよう、さくら」
「はい、北斗さん」
そして北斗は、改めてさくらの左手を取ると、そっと薬指に指輪をはめた。
まるであつらえたように、ぴたりと薬指にはまった指輪を見て、さくらは、ふふっと笑う。
「これでもう、絆創膏貼らなくて済むね」
「ああ、そうだな」
さくらは指輪をかかげて、嬉しそうに見入っている。
北斗は、そんなさくらをそっと抱き寄せると、また優しくキスをした。