さくらの記憶
さくらも祖母も、北斗の祖父に熱烈な歓迎を受けて新生活を始める。

「こんなにしてもらって、本当にいいの?」

祖母は、自分に用意された和室に感激し、何度も北斗と祖父に礼を言った。

真新しい畳の香り、庭を眺められる縁側、そして部屋には小さな風呂とトイレもあり、祖母はもう、あまりの優遇にオロオロするばかりだった。

日が経つにつれ、祖母はキッチンで料理をしたり、掃除や洗濯もこなすようになる。

そんなにあれこれしてくれなくても、と祖父が止めるも、動いている方が楽しいからと、本当に嬉しそうに家事をしていた。

時々ウッドデッキで、祖父と祖母は並んでお茶を飲む。

ずっと家に1人でいたから、誰かとおしゃべりするのがとっても楽しい!と、笑顔をみせた。

(おばあちゃん、何だか若返ったかも。すごく生き生きしてる)

さくらもそんな祖母の様子を見て、心から嬉しくなった。
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